宇宙開発と国際条約
UP : 2004.02.25
前回のコラムでは「宇宙開発」と「UFO問題」が密接に関わっていることを取り上げました。
今回は、宇宙開発がさらに進展していく中で「大気圏外の活動についての国際的な条約」が制定されている実態について、触れてみたいと思います。意外にもそれらの条約の中には「異星人問題」が濃厚に位置づけられているのです。

私たちが車で道路を走行する時、そこでは「道路交通法」によって規制され、空を飛ぶ飛行機などは「航空法」に従わなければなりませんが、大気圏外での衛星や探査機の運行などを扱う場合、これらは「宇宙法」によって秩序立てられています。

「宇宙法」は日本の大学にも講座がありますし、国際的な学会も存在します。
そこで使われているテキストには、この学問は「異星人とのコンタクトの際の行動規範の研究」と定義されているのです。そして、この規範を英語では「METALAW(メタロウ)」といいます。
具体的に言うと「宇宙の異なった種族との関係を規定する法の総体」であり、人間の活動と宇宙人のそれを「互いに有害な行為を避ける目的で、規制する新しい法の分野である」としています。
 
一部の宇宙法学者は「自己の意志の規則が、同時に普遍的な立法原則として有効でありうるように行動せよ」というカントの考え方を、異星人との関係に適用しようとしていますが、果たしてそれが可能かどうかは、結論が出ていません。

また研究の中では「地球以外の知的高等生物との接触の際にとりうる政策」として、次のような項目が考えられています。
 
 1) 科学的・技術的に劣った文明との接触
   ・最小限の安全と勢力圏政策
   ・信託統治政策および最終的パートナーシップ
   ・直接国際管理
   ・最小限の干渉政策
   ・信託統治機構あるいは直接の国際管理機構内での権限分担と
    そのコントロールに関する技術
   ・特別利益のコントロール

 2) 科学的・技術的に同程度の文明との接触
   ・可能な予備協定
   ・地球文明との統一への処置

 3) 科学的・技術的により高度な文明との接触
   ・地球文明を孤立させ保護観察する
   ・地球外文明からの恒常的除外
   ・圧迫を含む除外
   ・勢力均衡の可能な役割

(※中央大学院大学講師・龍澤邦彦著『宇宙法システム−−宇宙開発のための法制度』参照)

少し用語が難しいですが、これら大きく三つに分けられた諸政策は、人間社会の「歴史上の事実」によって説明されています。高度な文明との接触については非常に消極的で、それらとは地球を完全に孤立させる方向になっています。これは民俗学的な歴史観からみた法則性として「開発途上の文明は、近代化の進んだ社会に駆逐される」という歴史的な事実に立脚していると思われます。

そして重要なのは「これらの法制策学的アプローチは、接触の際の行動パターンの分析であり、規範的要素.....つまり、価値の問題を前提としていない」ことです。
つまり「人間にとって、何が幸福であるのか?」とか「人類は進化しなければならないのか?」とか「生まれ変わりによる魂の進化は必要か?」などについては、全く触れていないということです。ということは、相手となるの知的生命体の価値観は、全く考慮に入っていないという事になります。

 これらの学問に基づいた法整備は、主に国連の会議において条約が作られてきました。たとえば、1966年にジュネーブで開かれた、国際連合宇宙平和利用委員会に提出された国際宇宙安全保障条約草案には、次のような案件が提出されています。

 ・宇宙探査の一般的性質
 ・宇宙における人類の代表権
 
・「宇宙人」(地球外生命体)の安全保障
 ・地球外活動の国際管理
 ・国際安全保障対策−−地球的緊急事態

以上の各項目の詳細を一部分紹介しますと、次のようになっています。


< 宇宙人および彼らの活動の安全保障 >

・大気圏を含む電離層ベルト内部において、銀河系起源の宇宙船、その乗組員および財産は国際連合総会の保護・管轄下におかれることとする。

・地球外生命体(乗組員)による国家主権領土への緊急着陸、臨時上陸の場合、各国政府にゆだねられる。彼らの保護および責任は、地球外生命体のための別規則にしたがって、彼らの財産および個人の安全に特別かつ最大の注意のもと、遂行されることとする。

・いかなる国家の管轄下のすべての有人または遠隔操作の地球の乗り物は、地球外の宇宙船または勢力と遭遇した場合、自動的に国際連合の正式な管轄下に置かれることとする。

・指揮にあたる司令官および乗組員は、人命に危害を加える敵意ある行動または行為が発生した場合を除き、銀河系の宇宙船との平和的関係を樹立するための法的集団責任を負う。

・着陸した地球外起源の宇宙船と接近遭遇した地球上の「個人」または「集団」は、地域公安当局(警察)が着陸地点に到達するまで、最終的に上陸する乗組員の個人の安全と宇宙船のための法的責任を負う。

・正当かつ合法的な理由なく、上陸した宇宙(人類に似た)生命体に対して、小火器または軍隊を使用することは、法的告発によって国際刑事犯とみなすこととする。

・国際連合領土に着陸した場合、認められた国家が安全保障を担当することとする。

地球外生命体を保護する理由のため、致命的誤解、侮辱的言動、パニックを容易に引き起こし、あるいは最終的に人類と地球外生命体の対立を招く可能性のある大衆の「危険な好奇心」を遠ざけることを主要目的とする。

安全保障上の理由から、地域公安当局者および、専門調査当局者が到着するまで、人類は宇宙船から100m以上の距離を取らなければならない。宇宙船の早期離陸の場合、着陸地点に放射能の危険性があるため、何人も着陸地点に近寄ってはならない。

・地球の電離層ベルトの内部および地上において活動する宇宙人(地球外人類)は、国際連合憲章において宣言されている、地球人と同様の人権を享受することとする。

(元国連広報官・コールマン・フォンケビッキー編纂文書・たま出版刊・現在絶版より)

 
この他多くの細目があり、「地球的緊急事態に基づく惑星探査の禁止を宣言する権利」などに関しては「衛星や探査機への大量破壊兵器搭載の禁止」とか「他の天体上に兵器を配置しない」など、宇宙平和利用の目的に沿った条約に生かされています。ですから、月やその他の天体の平和的探査に必要な装置や施設の利用は、可能となっています。
しかし、条約の制定には、UFO情報隠蔽に基づく大国の思惑が働き、軍拡競争などと絡みながら多くの紆余曲折が生じていますが、惑星探査の情報がより一般化してきている現在、ますますこの「宇宙法」の整備が急務になってきており、同時に秘密にすることの困難さが露わになっています。
何よりも、現在公表されている火星探査機から送られている画像データが、上記の内容を踏まえながらオープンにしていく方へ向かっている事を示唆しています。

今年の1月7日、私が海外から受け取ったその青い空の火星の画像には「私が知っている火星はこんなです」というコメントが付いていました。それがこのホームページで公表された頃から、国内の関連サイトや世界中の人々の手によって分析が行われ、それは今も続いています。

そしてNASAでは、民間における様々な合成分析を容認する姿勢を明確にしています。「存分にそれを楽しんでください」といったコメントさえ見受けられます。
おそらくはこのようにして、新たな世界が地平線の向こうに見えてくるのでしょう。
韮 澤 潤 一 郎
にらさわじゅんいちろう

韮澤潤一郎の監修本
1945年新潟県生まれ。
法政大学文学部を卒業。

科学哲学において、
量子力学と意識の問題を研究する。

たま出版社長 他各社役員・
UFO教育グループ主幹。
 小学生時代にUFOを目撃して以来、40年にわたる内外フィールドワークを伴った研究をもとに雑誌やテレビで活躍中。1995年にはUFO党より参議院選挙に出馬。最近は、『たけしのTVタックル』などの番組に出演、超常現象肯定派の側に立って論陣を張る。UFO絶対肯定派。これまでに『ソ連東欧の超科学』『ノストラダムス大予言原典』『第三の選択』、「エドガー・ケイシー・シリーズ」「UFOシリーズ」などのベストセラーを手がけてきた。

 UFOと超常現象における研究の主要なテーマは、UFO目撃事件に始まり、宇宙開発や軍事上の情報操作の実態、宇宙考古学的な視点から見た人類の歴史、ミステリーサークル出現にいたる近代の文明に及ぼす宇宙人の動向、多様なコンタクト事件から判明する宇宙人の文明と、われわれ地球人の進化と能力の展望。