日本におけるUFOの情報公開
UP : 2005.05.26
昨年は、メキシコ空軍がUFO編隊に遭遇し、その際撮影された赤外線映像がニュースとして流れ、多くの人たちの関心を呼びました。
これは、ウソとかホントといったレベルではなく、れっきとした空軍の飛行機が出会った事件だからでした。しかし、偵察衛星でくまなく世界の空を監視しているはずの軍事筋などからは、その後のコメントは出てきません。

どのような事件が起きようと、だんまりを決め込むというのが、永年の当局の態度です。
このような状況を打破しようと、民間レベルによるUFO情報公開の動きが出てきています。
アメリカのCSETIは多量な軍事、情報機関筋のデータを蓄積し、イベントを張り続けていますし、最近はブラジルで、UFO会議での「UFO現象が全国民に関係のあることだということを権威に示さなければならない」といった決議をもとに、署名運動を行なって政府の決断を迫ろうという動きも起きています。

こうした中で、日本はどうかというと、あまりそうした表面に出てくるような先鋭的な組織は見当たりません。しかし、書籍などの資料は、これまでけっこう出回っていますし、それらに精通したマニアや研究者は少なくありません。
ですから、国会という公の場では初めてともいえる、UFO問題の質疑が取り交わされたことは、一部の人の関心を集めましたし、その重要性の再確認と、今後の展望を開く道標になりえたことは確かです。

軍事機密の壁がそうたやすく破られることはないので、問題の全貌が一挙に明らかになることは難しいでしょうが、少しでも、その実体に迫ることにはなりました。
どうやら「政府や軍事レベルでは、地球外生命体の乗り物としてのUFOの存在が認識されているということがありそうだ」と思えたことです。
麻生国務大臣が「彼ら宇宙人が地球の様子を偵察している可能性がある」と、まじめに答えているからです。「何千年か何万年かに一度くらい地球をかすめることはあるだろう」というような、天文学的常識が本当だとするなら、今回のような質疑にはならなかったはずです。

質問のポイントは「アメリカなどにはUFOの調査機関があるが、日本はその情報を得たり意見交換しているのか」でしょう。
大臣は、いったん「これは防衛庁の問題だが・・・」と、逸らしますが、「ある日突然に来る可能性は考えておくべき問題」と結論します。
つまりは、「UFOは、緊急事態として対応することがある問題だ」と認めているのです。これは、そう認めるだけの公式データを得ていることを意味してはいないでしょうか。

最後に、「率直に・・・思い切ったことを言っていただいた」と、いわば質問者は満足しています。
なぜ民主党の議員は今回そんな質問をしたのでしょうか。そして大臣もUFO情報の存在を肯定するような答え方をしたのでしょうか。

UFO情報の隠蔽が、アメリカ主導というか、その背後の軍需エネルギー利権に発しているとして、まだ日本の政治家は、その情報統制の影響を受けることなく、発言していると見ていいのかもしれません。
ある示唆によって、世界の情報統制の隙間から、たまたま漏れ出た質疑だったにせよ、海外の活動家のように、正面から対決しても、公聴会にも至らないより、情報公開という面から見ると、手っ取り早かったとも言えるかもしれません。
極論を言えば、日本におけるUFO情報公開の成功とも受け取れます。

なぜこんなことを言うかといいますと、そのような流れを生む、永年にわたる一途な努力の経緯を知るにおよび、私自身が感銘を受けたからです。UFO問題に対し、真正面から対峙し、その意味することを真摯につまびらかにするために、すべてそこに照準を合わせるということです。
あまりにも回りくどい作業とも受け取れるとはいえ、それに値する価値がこの問題の背後にあることを自覚しなければ、とてもできないことだと私は考えます。

発言者は、単なる票集めと思い、その次に来る背景を知らなくとも、宇宙の深遠にいたる手立てとなったことは確かでしょう。
そして次に展開するはずのものが、質疑全体の流れから見えてきます。キーワードは、UFO問題に関する「情報の質」についてです。
情報公開に関する質疑が、この直前に為されていて、公開してはいけないものもあれば、速やかに分析し、対処しなければならないものもあるとしています。それを判断するには、全く別の非常に特殊な人材が必要になるというわけです。

各国がUFO情報に関して、全くノータッチの態度をとり続けている裏には、ことUFOに関しては、あまりにも常識と現実の隔たりが大きくなっているという実情があります。
少しでも隙を見せて譲歩すれば、すべてが芋づる式に流出せざるを得ないということになるでしょう。

毎日世界の空には正体不明機が飛んでいることをレーダーはキャッチしている → それはどこの国籍のものでもない → 地球の航空機より早い → あまりにも頻繁で数も多いから、近くの衛星か惑星、もしくは宇宙コロニーなどから来ている可能性がある → なにをしにきているのか → いつごろから来ているのか → 当局の長年の研究では何がわかっているのか

最初の一事を認めるだけで、次から次へと、とんでもないことが出てくることになるわけです。それは収拾のつかないことになることは目に見えています。人々の関心が、その搭乗者や生活文化に至るのは必至です。

しかし、私たちにはそれらを受け入れる余地はないのでしょうか。
このままでは、せいぜい「宇宙戦争」の映画を見せられて、紛らわせるくらいしかできないのでしょうか。
宇宙開発も、せいぜいシャトル軌道までで有人宇宙開発はやめ、その先は修正された映像でごまかしてもらうだけでいいのでしょうか。

アメリカのUFO情報公開運動CSETIのグレア博士は、オイル資源の枯渇が迫っていることから、新しいエネルギー源としてのUFOテクノロジーの公開の必要性を訴えています。
確かに、エネルギー資源をめぐる戦いは後を絶たず、またそれによる環境破壊は予断を許さない現状になっています。
核の使用で解決するには危険性がありすぎます。戦争兵器としての存在は生きていますし、平和利用も問題があります。

この問題山積の地球上に、やはりひとつの突破口として、宇宙の現実に目を向けることが必要なのではないでしょうか。
まだ今は、この問題を正面から取り上げることは、物笑いの対象になるかもしれませんが、一歩踏み出することで、意外に大きな前進が為される可能性があります。
破壊の連続で歴史が続くのではなく、常識はずれの向こうに、理解と建設の新天地があるということを知ることの方がどれほどいいかわかりません。それを予感しているからこそ、情報公開への意志が働いているのでしょう。

日本の政界においては、その立場にある人たちが、はっきりとした情報を持っていて、真摯なかたちで追求しようとしています。それが少しずつでも為されるなら、秘匿されている情報を暴くのではなく、それを生かして公開される方向に向かうと思いたいものです。 
韮 澤 潤 一 郎
にらさわじゅんいちろう

韮澤潤一郎の監修本
1945年新潟県生まれ。
法政大学文学部を卒業。

科学哲学において、
量子力学と意識の問題を研究する。

たま出版社長 他各社役員・
UFO教育グループ主幹。
 小学生時代にUFOを目撃して以来、40年にわたる内外フィールドワークを伴った研究をもとに雑誌やTVで活躍中。1995年にはUFO党より参議院選挙に出馬。最近は、『たけしのTVタックル』などの番組に出演、超常現象肯定派の側に立って論陣を張る。UFO絶対肯定派。これまでに『ソ連東欧の超科学』『ノストラダムス大予言原典』『第三の選択』、「エドガー・ケイシー・シリーズ」「UFOシリーズ」などのベストセラーを手がけてきた。

 UFOと超常現象における研究の主要なテーマは、UFO目撃事件に始まり、宇宙開発や軍事上の情報操作の実態、宇宙考古学的な視点から見た人類の歴史、ミステリーサークル出現にいたる近代の文明に及ぼす宇宙人の動向、多様なコンタクト事件から判明する宇宙人の文明と、我々地球人の進化と能力の展望。