ミレニアム・サバイバル(6) 時空を越える細胞
UP : 2005.04.26
現在では考えられないことですが、実は当社にも、出版した本を書店に置いてもらえなかった時代がありました。

その頃は、あちこちの関連集会に本を担いで行って、そこで出店してりするなどして、発行した書籍を売り歩いていました。

そうした集会の一つに「菊花会」があり、その頃の代表は、小田秀人先生がおられました。この方はもうだいぶ前に亡くなられましたが、確か京都大学の哲学科を出られた後、有名な能力者たちと親交をもちつつ研究と啓蒙活動を行い、生涯に渡ってある仮説を訴え続けておられました。

それは「宇宙の神秘を解くカギはアメーバの食性や増殖過程に見る事が出来る」というものでした。
これだけ見ると、何の事やら解りかねる結論ですが、解りやすく言うと__

感覚器官も持たない微細な下等生物たちが、あたかも寄生しようとする生物の構造を知り尽くしたかのように活動する状況は、既存の科学的理論では説明出来ないものがあり、それを解くカギこそ霊的な超常現象に求められる。
という見解だったと思います。

小田先生は、「エクトプラズム形成」や「物品引き寄せ」「遠隔治療」といった、当時は心霊現象の範疇にしか無かった現象について、絶対的確信を持っていました。
そこで、その解明の糸口を身近な生物の営みに向け、人々に理解を求めようとしたのです。

当時はまだ、小田先生の主張に耳を貸す人は殆ど見られませんでしたので、講演ではとても力が入っていたようです。ある講演で小田先生があまりに力説して叫んだために、入れ歯が飛び出したのを見たのは、私がまだ20歳代の頃ですが、今は私自身が入れ歯になっている状況です。それから思い起こすと、あれから40年も経っており、残念ながら先生の著作類は、現在ほとんど絶版状態にあると思います。
氏の主張を裏付ける最近の科学的状況を『フィールド』等から要約してみましょう。

現在の通常の科学では「DNA」が、体を構成する蛋白質やアミノ酸に対応した遺伝子的暗号の青写真をもつ「建設設計者」であり、その遺伝子的命令が、塩基配列の特定の伝令RNA(リボ核酸)分子を選択し、細胞を組み立てるとされています。

しかし、その際の「タイミング」が注目点になって来ます。
「遺伝子的命令」がいつ出されているのか?漠然と混在している化学物質のすべてが、なぜ同時に作用するか?ここががはっきりしないという事がポイントなのです。

「個々の細胞は、一秒間に10万回ほどの化学反応を起こしており、身体の全ての細胞レベルでは、特定の化学反応が毎秒同時に何10億回も生じている。もしもこの時、何百万という細胞全ての科学的プロセスの一つでも、ほんの少し「オフ」になってしまうと、人間はものの数秒で瓦解してしまう」と言われています。

ここまで聞くと、このような事が起きないように、何が調整しているか?という疑問が湧いて来ます。その中には、例えば「ある一群の細胞に対して、脚ではなく腕に成長するよう命じる」というような、科学的・遺伝子的プロセスは何なのか?その指令をいつ起こすか?また、それらを何が感知しているのか?という事も含まれています。

その回答の仮説として次のように考えられるわけです。

生物一個体の全細胞には、同一の遺伝子情報をもつ同一の染色体が含まれているが、各部分の細胞は、自分が「どの遺伝情報を使うのか」を「知って」おり、さらに、どのくらいの大きさになればいいのかという適切な増殖量と、それに適切な時期も「知って」おり、からだ全体のどの位置に収まれば良いのかも、完璧に「知って」いる。
このような事は、いわゆる「テレパシー」のように瞬時に行なわれる、きわめて巧妙で超越的な細胞間のコミュニケーションが、その生物の一生の間、一瞬たりとも休みなく起き続けているからである


実は最近になって、奇しくもこの発想が、分子生物学や量子力学で取り上げられるようになってきたのですが、これは非常に注目すべきことです。

この動きは、前回のコラムでも指摘したように、今まで「機械」として説明出来ると思われた個々の生命体が、実は「宇宙全体との共鳴」によって存在していると解釈せざるを得なくなって来たしるしと言えるでしょう。
これは普通の人々が考えている以上に、重大な転換を意味すると思われます。「現代科学は、今まで信じて来たものの多くを破棄し、ある意味ではゼロからの再出発に取り組まなくてはならない」と言って良いかもしれません。

現に、先端科学の世界では「実験結果」として導き出され、これまで精神世界の分野で「集合意識」や「精霊」などと呼ばれてきたものの実在を明確にしようとしています。ただ一方で、この「宗教の科学」とも言える研究テーマに対し、依然として拒否反応を示す多くの抵抗科学者がいることも確かです。

前述の「細胞同士のコミュニケーション」について、英国の生物学者ルパート・シェルドレイクは、「形態形成場」という用語によって、このような情報共鳴が細胞・身体だけでなく、人の社会構造にまで及んでいると主張していますが、その考え方から見てみると、私たちは「空間と時間を統一する意識の海の中」に住んでいるということになりそうです。その「海」という概念からは、時空を超えた、原子的レベルにおいても適用される情報の「海」、つまりアカシックレコード的な意味も見出されます。

このような事から、生命体に及ぼす意識の作用は、人の医療にも適用されると共に、過去のあらゆる場所の出来事を察知できる可能性や、未来を形成する手法にも及ぶと言うことになります。

一例として、近頃TV各局の定番ともなっている「FBI超能力捜査官」シリーズ特番では、捜査官が、指定された人の名と生年月日などが書かれた紙の入った封筒を「開けずに」透視している光景を、よくご覧になっていると思います。

しかし、アメリカの情報機関が開発したSRV(科学的遠隔透視)の手法は「ブラインド」と言い、その封筒さえも見ることは出来ません。その場合は「ターゲットの番号」だけが透視者に伝えられる事になります。
そこでは「モニター」と呼ばれるまったくの第三者が、ターゲットを「知っている」だけで進められるのです。透視者は対象物についてまったく知らされないまま、実験者の指定した情報にアクセスしていくことから、透視が行われます。
この事は、宇宙における生命活動が、意識空間の情報、謂わば「神の言葉」によって活動が開始されている事の現れと言えるでしょう。

人が「意識の海」に直結した場合、どのような感覚を持つのか?ということに関しては、当社から「意識シリーズ」を出版されている野島政男医師が、最も良いパターンではないかと思います。病院の院長として長年尽力され、ついに到達した最高地点の状態が、最近の著書類にとても象徴的に現れています。

実は、最近は他にもこのような著者が非常に多く現れています。
それらは皆「理屈ではなく、一体となったフィールドの中で物事を改善する」というスタンスから、理論としての文章ではありませんので、一般の出版社では出せないのが現状です。確かに印刷されてはいますが、それは文字の本という感じではなく、まるで曼荼羅のようなものと言ったら良いかもしれません。つまり、実際にそれを読むことで、いわゆる「奇蹟」と呼ばれるようなことが起きているのです。これはとても不思議な現象で、歴史考証・教育・医療・レイキなど、さまざまなジャンルに及んでいます。

また、量子力学の海に漕ぎ出している先進的科学者たちも、さまざまな実験に取り組みつつあります。現在の身体的状況に関与するため、過去の細胞を変えてみるといった、タイムトリップ的な可能性にもチャレンジしています。

しかし、時空のタガが外れてしまうということは、知性のタガも外れかねません。
仮に、宇宙自体が前述のような働きを持っており、私たちの細胞の中で、一瞬たりと休むことなく作用していることを考えると、私たちはどういうカタチで、日々それに対応すればいいのでしょうか?

ここで最も必要とされる事は、最早機械的な理性ではなく、宗教的・道徳的・芸術的世界に入って行かざるを得ないでしょう。シンプルに言えば「愛」と「美」でしょうか。そのようなある個人のもたらした思考なり意識が「波動」として時空に及ぶことで各々の細胞レベルに共鳴し、「万物との一体感」が訪れることになると思います。
人類の夢が、そのような境地に基づく社会の形成であるとすれば、もう間もなく実現されようとしている、ということになるのでしょうか。

アカシックレコードの未来展望・神の子の言葉として残る聖書の黙示・宇宙の運行と文明周期を表わした古代マヤのカレンダー___それらは何か共通するものを感じさせます。それは、間もなく理想が実現するかもしれないという期待感です。

12世紀にアイルランドの大司教だった聖マラキは、彼の時代以降の112人の法王にどんな人物がなるのかという事を、DNAの暗号のような名前の「生命の木」という予言書にしたためたと言われていますが、今回指名された法王は、その予言の中での「最後から2番目」の法王にあたります。

ということは、あと1人の時代にその予言が「終わり」になるということになりますが、それは、新しい明るい時代の「始まりのための終わり」と考えたいものです。
「宗教の科学」が当たり前になった世界では、宗派の権威というものは終わりになるに違いありません。

まさに、前述の先端科学と意識の研究を目の当たりにして、その区切りが近づいていると言えないでしょうか。
韮 澤 潤 一 郎
にらさわじゅんいちろう

韮澤潤一郎の監修本
1945年新潟県生まれ。
法政大学文学部を卒業。

科学哲学において、
量子力学と意識の問題を研究する。

たま出版社長 他各社役員・
UFO教育グループ主幹。
 小学生時代にUFOを目撃して以来、40年にわたる内外フィールドワークを伴った研究をもとに雑誌やTVで活躍中。1995年にはUFO党より参議院選挙に出馬。最近は、『たけしのTVタックル』などの番組に出演、超常現象肯定派の側に立って論陣を張る。UFO絶対肯定派。これまでに『ソ連東欧の超科学』『ノストラダムス大予言原典』『第三の選択』、「エドガー・ケイシー・シリーズ」「UFOシリーズ」などのベストセラーを手がけてきた。

 UFOと超常現象における研究の主要なテーマは、UFO目撃事件に始まり、宇宙開発や軍事上の情報操作の実態、宇宙考古学的な視点から見た人類の歴史、ミステリーサークル出現にいたる近代の文明に及ぼす宇宙人の動向、多様なコンタクト事件から判明する宇宙人の文明と、我々地球人の進化と能力の展望。