アブダクション事件による情報操作と軍事的秘密実験
UP : 2006.03.04

現在、カナダの活動家達が中心となって組織した「宇宙平和外交運動」のネットワークが、世界に広まりつつあります。今回は、このような流れとは逆の存在にについて、とりあげてみようと思います。

この組織が、初めて大掛かりな規模で開催した昨年のトロント会議で、カナダのポール・ヘイラー元カナダ国防大臣が行なった、「宇宙戦争発生の危険性」のスピーチは、これまで一般的に正体がはっきりしなかった「UFOと宇宙人」の存在を、より現実的に世界にアプローチすることになりました。
まずここで、改めてその演説の概要をご紹介します。


アメリカの軍当局は、宇宙人に対抗する「兵器」を準備しており、一般大衆に対して何の予告することなく、地球が銀河戦争に巻き込まれることになりかねない。

ブッシュ政権は、宇宙からやってくるもの・地球から出て行くものを追跡して打ち落とすための、月面の前進基地建設を認可してしまった。

今や秘密のベールを開き、真実を明らかにしようではないか。
UFOは、あなた方の頭上を飛ぶ飛行機と同じように現実の物であり、情報公開で明らかになってきているように、
この惑星を訪問しているのは、倫理的な地球圏外の文明である。

今日、我々の惑星が直面している最も重要な問題について、大いに論議していかなければならない。

カナダがこのような政治的な面から動くことが出来たのは、60年代にノーベル平和賞を受賞したレスター・ピアソン元首相以来、国連などを通じて大量破壊兵器禁止条約を推進してきた経緯があったからですが、さらにそれ以前から、太陽系惑星人からの援助があったといわれる、ウイルバート・スミス等によるUFO動力源に関する国家プロジェクトが存在していたことなど、政治的レベルにおける取り組みの歴史があったからだと思われます。

また、ヘイラー元大臣が触れた「情報公開」の背景としては、スティーブン・グレア氏の情報公開組織「CSETI」が収集した、軍や宇宙開発関係者からの数千件にわたるUFO情報が主体となっている筈で、いみじくも「倫理的地球外文明」といった言い方は、収集された当局情報に基づいて、CSETIの代表者であるグレア氏が結論付けていることと同じです。

グレア氏は「UFOの搭乗者・宇宙人側が、地球に対して戦争を仕掛けている形跡は一切見当たらない。それよりも、地球人の軍事兵器に対し、使おうとするのを抑制するようなUFO事件は起きている」と述べていますが、実際に核弾頭を装備したミサイルの電気系統をダウンさせたUFO事件など、たくさん報告されています。

このような「宇宙人善良説」に対し、実際のUFO事件の中には、一つの大きな問題があります。もうSF映画やドラマなどではすっかりおなじみになっていますが、地球人を誘拐したり人体実験していると言われる、いわゆる「アブダクション」や「インプラント」のケースです。

前回のコラムで紹介した「宇宙平和外交運動」のネットワークにも入っていますが、地球人側からすれば、これはどう見ても善良とはいい難いという見方もあると思います。宇宙人に対する、このようなグロテスクなイメージがなぜ出てくるのかに関し、興味ある研究レポートがあります。

タイトルは「UFOアブダクションにおける軍事のかかわり」です。
著者は、宇宙科学の専門家であり、なおかつMUFON(相互UFOネットワーク)オーストリア代表であるヘルマット・ルーマー博士です。

このレポートから、ドラマや映画で盛んに取り上げられている、一連の「奇怪な」事件が、情報操作のために故意に行なわれている可能性と共に、別な実験プロジェクトが絡んでいるということが分かってきます。しかし、結果的には宇宙人に対する怪奇なイメージをもたらすよう仕組まれていることも確かです。

レポートの内容は、過去コラムバックナンバー32とバックナンバー33で、シオドア・ローダー博士が述べた内容を補足するような流れになっていますので、関連付けて読むと分かりやすいでしょう。
なお、ローダー博士のインタビューは1998年に行なわれたものですが、今回のレポートは、ルーマー博士が1996年に提出していたものです。
長文で、細かいデータが付いていますが、分かりやすくダイジェストすることにします。

ルーマー博士は、「プロジェクト・ミラブ」という名の調査を立ち上げ、その結果としてこのレポートをまとめています。(「ミラブ」とは、ミリタリー・アブダクション(軍事的誘拐)の略です。)

まず、アブダクション事件の調査では、軍や諜報機関の職員によって誘拐され、地下の軍事施設と思われる所に連れて行かれたという証言が出てきます。その中には、「身体検査をする軍医の手に、異星人の頭を模したゴムマスクが握られていた」という報告があるのです。
これらの報告から、軍人と異星人が同じ事件に関わっているという事に疑いが持たれ、マインドコントロールの研究者たちは、いわゆる「アブダクション事件」は、軍の秘密実験のカモフラージュに使われていたのだと判断しています。

そのような前提から、UFOによる地球人誘拐事件そのものが、実は軍のマインドコントロールのための電磁兵器テストの目標にされた人々が、モニターされたり、繰り返し情報収集のために誘拐されたりしていたという実態が浮かび上がって来ています。
これらのことが、国会の聴聞会などでUFO問題を取り上げようとすると、必ず妨害される理由ではないかとしています。

これを傍証するもう一つの現象として、「黒塗りで何のマークも付いてないヘリコプターの目撃事件」があります。

アブダクション事件に先立つ1960年代に、アニマル・ミューチレーション(動物切断)発生の際に、この黒いヘリが出現して目撃されています。ある研究者は、1968〜1984年に発生した270件のアブダクション事件を調査したところ、アメリカでは3件、カナダで1件、黒いヘリコプターの活動が見られたと報告しています。

ただし、この現象は北米地域と英国に限定されているので、限られた地域の秘密実験である可能性を暗示していると共に、事件が年を追うごとに増加し、90年代が最高の報告件数であることは、それだけ実験規模が拡大していることを裏付けていることになるとしています。
その実験とは、遺伝子に関するものだと言われています。
ここには多くのアブダクション事件の実例と分析が出ていますが、最も有名な鼻や耳への小物質のインプラントから、突然変異やハイブリッドの胎児摘出などに及んでいます。

ここで言われている遺伝子実験とはどのようなものでしょうか?それはおそらく、人類種全体に関わる何かしらの操作だと思われますが、この原型としては、ナチスによる純血種保存実験として実施された、少年少女誘拐計画に遡るようです。
当時、ナチスは金髪碧眼のアーリア人種のを前提として、東欧や北欧から20万人以上の美少年美少女を強制的に集め、結婚の施設を作ったと言われています。しかしその結果、その被験者達は戦後もずっと人格破壊の後遺症を残してしまいました。

一方で、ここ近年はアカデミックな科学の分野でも遺伝子研究が盛んになり、クローンやさまざまな細胞形成の実験が話題になっています。もしこの分野で人を使った実験が行なわれているとすれば、秘密にせざるを得ないことは容易に考えられます。

また、ここで言われている「 マインドコントロール実験」とは、人間誘拐時に電磁照射によって感覚を麻痺させることに始まり、催眠によるイメージ転写、神経伝達物質であるアセチルコリンを電磁的に遮断、聴覚や視覚を麻痺させたりするような実験を行い、最後は電子的に記憶を崩壊させ、その体験を忘れさせてしまうといった事が行なわれるようです。

レポートでは、この種の実験が広範囲にわたり、大掛かりな機動部隊を伴って実施されており、巨大な地下施設の存在が考えられるとしています。
これらの全体像というものは、ローダー博士がインタビューで述べていたように、「これまで聞いたどのような物語より邪悪に満ち、奇妙で不思議なもの」という表現に表されていると思います。

宇宙からの倫理的な来訪者に向かって戦争を仕掛け、自分たちの違法な実験を、地球外文明の仕業に見せかけようという悪辣極まりない行いは、許せるものではありません。レポートの広範囲な統計によると、北米で起きたアブダクション事件の約28パーセントが、地球の軍事的な誘拐と判断出来るとされています。

以上の秘密機動部隊が遂行する「人体実験」の行く先には、どのような狙いがあるのかはまだ謎ですが、真実のアブダクション事件の中に「軍事的人体実験」が混入してしまい、おどろおどろしく怪奇なイメージが先行してしまっているのは、レポートから明瞭に読み取れます。

しかしながら、その反対に位置するものとして、純粋で奇跡的なETヒーリングの事例がいくつも存在します。それらの報告からは、別なコミュニケーション手段として、宇宙からの良き働きかけがあるのだということを、はっきりと認識出来るのです。それらは言うまでもなく、あの怪奇で陰鬱なイメージの軍事的な誘拐のケースとは全くの別物として、はっきりと分離されるべきものです。
ETヒーリングの実情については、弊社から出版されている『ETに癒された人たち』に詳しく述べられていますので、ご一読頂ければ幸いです。

冒頭でもふれましたが、ここ近年クローズアップされ、世界のニュース配信会社であるAP通信社で、昨年公式な用語として登録された、「平和的宇宙外交=Exopolitics」という言葉がありますが、この本格的な実現に至るためには、クリアされなければならないテーマがまだまだ沢山あります。
今、運動のネットワークでは、かつて「人権」や「女性の地位」などがそうであったように、今度はこの「宇宙平和外交運動」を国連の「10年テーマ」として、取り上げる方向で進められているようです。

次回も、今回のテーマを含んだ事実関係などについて、探ってみたいと思います。

韮 澤 潤 一 郎
にらさわじゅんいちろう

韮澤潤一郎の監修本
1945年新潟県生まれ。
法政大学文学部を卒業。

科学哲学において、
量子力学と意識の問題を研究する。

たま出版社長 他各社役員・
UFO教育グループ主幹。
 小学生時代にUFOを目撃して以来、40年にわたる内外フィールドワークを伴った研究をもとに雑誌やTVで活躍中。1995年にはUFO党より参議院選挙に出馬。最近は、『たけしのTVタックル』などの番組に出演、超常現象肯定派の側に立って論陣を張る。UFO絶対肯定派。これまでに『ソ連東欧の超科学』『ノストラダムス大予言原典』『第三の選択』、「エドガー・ケイシー・シリーズ」「UFOシリーズ」などのベストセラーを手がけてきた。

 UFOと超常現象における研究の主要なテーマは、UFO目撃事件に始まり、宇宙開発や軍事上の情報操作の実態、宇宙考古学的な視点から見た人類の歴史、ミステリーサークル出現にいたる近代の文明に及ぼす宇宙人の動向、多様なコンタクト事件から判明する宇宙人の文明と、我々地球人の進化と能力の展望。