伊豆熱川事件と「英国UFO文書」の軽薄さ
UP : 2006.06.05

前回コラムで予告しておりました伊豆熱川での事件を紹介する前に、先月の15日に英国国防省が、「英国上空の未確認空中現象に関する行政上の要約」という、400ページ以上の極秘文書を公開しましたので、この事について少し触れておきます。

これは「英国の公的なUFO否定文書」ということで、日本のテレビニュースでも報道され、いかにも「宇宙人の乗り物としてのUFOはやはり存在しないのだ」という印象を、大衆に伝えようとしていたようですが、問題はその内容が、本当に決定的な意味を持っているのかどうかということです。
既に、この文書に疑問を感じたテレビや雑誌社から取材があり、掲載された内容を、当サイトのニュースページに紹介していますので、そちらをご覧頂ければと思います。

改めて今回の文書を読み通して見ますと、まさに「趣味のコレクションに過ぎない」と表現するにふさわしい内容であることが、ますますはっきりしてきました。

この文書を作成した「国防分析担当員」なる部署が、2000年にとりあげた情報のソースが、今まで表に出なかった「DI55」という1950年頃から活動していたらしい古い機関と、1995年からスタートした「MoD」というセクションから出て来ているということが書かれていますが、それらの機関が持つ全てのデータベースを基にしているのではなく、「各事件は、たった一枚の定型用紙に記された、簡略な資料に基づいている」と記されており、「それ以上、事件の当事者に接触するなどが出来なかった」とも書かれているのです。

と言うわけで、文書中には世界中の書籍やマスコミ報道の写真が掲げられているにも関わらず、実質的には目撃形態の分類をしているに過ぎません。
それでいて、

「一部未解明もあるが、未確認空中現象は宇宙船ではない」
「固体の存在はなく、プラズマのような自然現象であろう」
「領空での脅威はない」
「同盟国の軍の秘密兵器かもしれない」
「流星の誤認が濃厚」

などと、著しく適当なことを挙げ連ねています。
これらの結論部分は推測であり、決めつけと言われても仕方がありません。

また、資料の中に多数の写真が掲げられていますが、そのどれ一つとして詳細なデータは表示されていませんので、今回出された文書は、そのタイトルにうたわれているような、「分析」という名には到底値しない代物なのです。
言うまでも無いことですが、世界中の市井の研究家の方が、今回の文書よりも遙かに、それぞれの事件当事者について調べており、慎重に分析しています。

何故このような文書が、ここに来て公表されたのか?ということについては、さらに興味深い事柄が出てきていますので、今後当コラムやテレビ等で言及していきたいと思っています。


さて、ここからは、前回予告しました伊豆熱川での事件になりますが、もちろん前述の英国UFO否定文書には一切登場していません。日本オリジナルの事件です。
しかし、この時期に伊豆で起きた一連の事件から、驚愕の背景が導き出されてきました。おそらくそのことによって、UFO史が塗り替えられ、新たな展望が導き出されることになるでしょう。


伊豆熱川 UFO遭遇事件

事件が起きたのは、1979年3月で、前回コラムの西伊豆UFO遭遇事件から、5カ月ほど後になります。伊東市に近い温泉地熱川を過ぎた所に白田温泉郷というところがあり、そこにある中華料理店(写真1参照)が今回の遭遇ポイントです。

写真1:宮本さん経営の中華料理店(当時の写真)

その店には、今のソフトバンクホークスの王貞治監督が、巨人での選手時代に使用していたバットやトロフィーなどが並べられていたとのこと。その理由は、店の経営者であった宮本さんのお父さんが王監督のお父さんと兄弟になリ、王貞治さんの従兄弟だからです。

その日の深夜2時ころ、宮本さんがふと目が覚めて窓の方を見ると、裏庭(写真2参照)の方が、明るくなったり暗くなったりしているのに気付きました。

宮本さんは「何だろう?」と思い、そっと窓を開けると、そこには手の届くような近距離に、円盤型の物体(図1参照)があり、その上部から強烈な光が出ていました。
普段は漫画などで、空飛ぶ円盤など見ているくらいでしたが、どうやら目の前にあるのがそれらしいと思った途端、「身体が金縛りにあったみたいにボーッとなってしまった」そうです。
UFOは直径2メートルと小さく、円盤型で、上部にはドームのようなものがあり、そのてっぺんに強烈な光を点滅させるサーチライトのようなものがついていました。

図1:目撃した円盤型のUFO

(TVインタビューより)宮本氏: それが光る時には、まぶしくて目を開けていられないほどで、何も見えなくなりました。でも、光が消えると、闇の中にうっすらと円盤らしい影が見え、上のドームのところには、四角い窓のようなものが、ぼんやりと浮かび上がって見えたんです。

インタビュアー: 目の当たりにUFOを見て、どうしましたか?
そばに近づいてみたんですか?

宮本氏: いえ、ただもう・・・ ボヤーッと見ていただけです。

インタビュアー: どうしてですか?普通だったら、見に行くとか、大声で人に知らせるとか、何かで突っついてみるとか、石を投げてみるとか、何かしようとするんじゃないですか?

宮本氏: それが不思議なんです。そのときには何も考えつかず、じっと見ているだけでした。アッ、そうだ! 私は目が悪いので、もっと良く見ようと思って、一度部屋の中の整理ダンスまで言って、メガネを取ってきたのを覚えています。
でも、その後はあまり記憶が残っていないんです。いくら思い出そうとしても、UFOを見ていたという場面と、翌朝布団の中で目が覚めたということだけで、その間、何をしていたのか、覚えていないんです。

宮本さん自身の体験は以上ですが、その日の夕方6時頃、今度は同居していたお母さんが別のものを目撃しました。

お母さんが1階の風呂場で洗濯をしてると、表から人が入ってくるような足音がしたので、何気なく後ろを振りかえりました。すると…
廊下の向こうを、身長1メートルほどの不気味な生き物(イラスト2参照)がゆっくりと横切り、お母さんは腰をぬかさんばかりに驚きました。大声で助けを呼ぼうとしても、なぜか声が出ませんでした。
その生物は、全身を黒く光るウェットスーツで包んだような、異様に小さな人影でした。そして台所に入り込み、冷蔵庫のドアを開けて何かを持ち出そうとしていました。

(図2)宮本氏のお母さんが目撃した生物

インタビューより)宮本氏のお母さん:
「人間の子供と違って、顔がとても小さいんです。それに、耳が大きくて頭の両側に上へ向かってピンと突き出ていました。頭はとがっていて、手の指は見当たりませんでした。

もっとよく見てやろうと、近づいたとき、驚きのあまり、その場にへなへなと腰を抜かしてしまいました。というのは、そこは行き止まりで、どこへも抜けられない壁だけなのに、怪しい姿は煙のように消えうせてしまったからです。

その時は、私も何かの錯覚だろうと思って、黙っていたんです。でも、次の朝、せがれが『裏庭に着陸したUFOを見た』なんて言ったもんだから、それで初めて、『あれは宇宙人だったのかもしれない』って思ったんです。

実は、上記の事件の一週間くらい前、お父さんも宇宙人らしい姿を見ていたのです。

インタビューより)宮本氏のお父さん:
「朝早く目を覚ますと、窓の外で2〜3人の話し声が聞こえるんだが、そこは幅30センチほどの隙間しか無いところで、人が入れる余地は無いよ。

はじめ猿かなんかだと思ったんだが、よく聞くと確かに人間の話し声だった。だが、どこの言葉かはまったくわからない、奇妙な言葉で、まるで別世界のものだった。
一度だけ、窓に映る異様に小さな人影を見て、ぞっとしたよ。

まるで、おとぎ話の妖精のように小さく、フワフワと宙を歩くように横切って行ったよ。何ともいえず、不気味な感じがしたな。」

宮本さんがUFOを見た翌日、それが着地していた場所に着陸痕らしきものがありました。それはまるで、扇風機で上から押し付けられたように、雑草が右回りになぎ倒され、直系2メートルくらいの円形を描き、内側の草は枯れたまま残っていました。

(写真2)UFOが着陸した裏庭

その日から、店に来るお客さんがみんな珍しがり、その着陸痕を見に来るようになったのですが、そこに来たある人が、円形になぎ倒されて枯れた雑草の中央が盛り上がっているのを見つけ、「掘ってみよう」ということになったそうです。

そこからまた、更に奇妙な事が起こりました。

地面を10センチも掘らないうちに、なんと土の中から一羽の鳥が飛び出して歩き出したというのです。

この鳥は地面の下で、どうやって生きていたのか・・・?
そこにいた一同は、あまりの不思議さに唖然としてしまいました。
その鳥は成鳥で、大きさはシジュウカラくらいあり、全身真っ黒で、嘴だけが鮮やかなオレンジをしていましたが、誰も見たことのない鳥でした。

その後、 店で飼ってみることになりましたが、その鳥は野菜は一切食べず、人間の食べるようなものばかりを欲しがり、声は人間のしゃがれ声そっくりでした。
また、めったなことでは動じず、犬が吠え立てても、そ知らぬ顔で落ち着き払っている様で、宮本さんご一家もだんだん気味が悪くなってきたそうです。
そうこうする内に、噂を聞きつけた伊豆新聞の記者までやって来て、ちょっとした騒ぎにもなりました。遠く下田市にも出かけ、鳥類の専門家に見てもらったりもしたそうですが、やはり鳥の正体は分からないままでした。

そしてその一週間後、その鳥は忽然と消え去ってしまいました___。
鳥籠の戸はきちんと閉まったままで、自力で開けて逃げ出すことは不可能でした。

(インタビューより)宮本氏:
なんだか気味が悪くて・・・ あれは、ひょっとすると、着陸したUFOがおいていった別の世界の生き物だったのかもしれませんね」


最後に出てくる鳥の話などは非常に不可解な事件ですが、その消失の様子は、1972年に高知市の介良村で起きた、小型UFO捕獲事件を思い起こさせます。
ともかく、この一連の伊豆半島で起きた事件について考察してみましょう。
前回のコラムと読み比べて頂ければと思います。

まず5ヶ月という隔たりはありますが、目撃されているUFOが、「2メートルくらいの小型」で、その「窓が四角」という点、また搭乗者らしき生物が「小柄」というところで、双方の事件に大きな共通性が見られます。

もう一つは、双方の事件とも、UFOが近くにいる時、一種の催眠状態のように「ボーッとなり」身体が動かない、または眠くなるような感じで、カメラで撮影するというような意志も働かなかったということで、この辺りからも、同じUFO・宇宙人によるものだという事が推測できます。

双方の事件にあった特徴を列記してみますと
◎ 心身ともに明晰ではない状態になる。
◎ 音を出して着陸痕を残す円盤型の飛行物体が出現。
◎ 小柄な搭乗者が目撃されるが、空中で消滅する。
◎ 不思議な生物が現れ、ある時に忽然と消え去る。
という様な状況です__。

これらの訳の分からない事件は、一体何を意味するのでしょうか?

この謎を解くカギとして、当コラムのバックナンバー32バックナンバー33で紹介した、セオドア・ローダー博士の次の言葉を思い出します。

「・・・その全体像というものは、これまであなたが聞いたどのような物語よりも邪悪に満ち、奇妙で、不可思議なものとなるだろう」

「まさしくあなた方をそうした魔法に陥れるテクノロジーに関する分厚いCIAの文書が存在している。」

「アブダクションを行っている軍のチームが、民間人がキャンプをしているトレーラーの上空に、宇宙船で滞空していたことがある」

「アブダクションの多くは軍によって起こされているのだ」

「これは、あなた方の心の中に軍が計画したもので、そのためにあなた方は、それがエイリアンだと思うだけなのだ。そういうテクノロジーを彼らは持っているのだ。そのように情報を入れ替えてしまうのだ。」

事実、今回の事件のような不可解なUFO遭遇事件は、日本でも多く起きています。伊豆の近くには軍港として横須賀があり、この類のコンタクティーが多い四国は、佐世保が一つのポイントになるでしょう。北海道なら三沢からでしょうか。九州なら芦屋かもしれません。

そのテクノロジーが、軍の航空機や船舶から行うのか、それ専用の円盤型の航空機があるのかは分かりませんが、そこから、ある志向性を持った電磁的ビームの放射によって、映像データ投射が行われるのでしょう。それらはある期間に渡って行われ、そのターゲットのエリアの人は、一つの条件下で心身に影響を受けるものと思われます。

そのような背景から、前述の伊豆熱川のような遭遇事件が何故起きたのか?という事について、一つ気付いたことがありました。
ちょうど2つの事件の中ごろ、'79年1月末、アレン・ハイネックが来日したのですが、このとき日本中のUFO研究家を集めて雑誌対談を行い、ジャック・バレーが唱える「不条理のフェスティバル」、つまり「UFO現象とは、物理的であると共に非物理的なものである」という主張を振りまいて行きました。つまり、伊豆の事件はそれを証明した事にもなるのです。

その頃は、オーストラリアのUFO撮影事件があったり、自由化法でCIAの秘密文書が公開されたりと活気はありましたが、その後、非物質的・霊的UFO論が拡大することとなり、UFOとは何なのか?という論点が、次第に不明瞭になっていった時期でもありました。

実際に情報を脳に送り込むテクノロジーについては、マン・マシーン・ハイブリッドの研究や、軍事利用に向け、人の脳とコンピュータのインターフェイスが繋がる技術として、最近ようやくテレビなどでも取り上げられるようになって来ていますが、精神的ダメージを与えたり、人格異常さえ起き得る危険性について指摘されています。また、「これからは心と意識の問題を再検討する時代になった」と、哲学者や宗教家なども発言し出しています。
このような状況は、現実と幻想の区別がなくなってきており、そもそも人間の体験や記憶、自己認識というものが何なのかということを、改めて問い直す必要が出てきているように思われます。

紹介した伊豆の事件にあった、目撃者の脳神経に働きかけるような現象は、実はかなり古い事件からも認められるのですが、もともと宇宙人が使用していた技術であったものを、当局が何らかの協定で譲り受けたか、または獲得した可能性も考えられます。

今後は、反重力テクノロジーと共に、エイリアン側の実情と地球側の暗躍部隊の動向は、さらに注目・検証される必要があります。そのために、毎年数100兆円という資金が投入されているとも言われてますので、米軍と自衛隊の融合再編の行方も気になる所です。

ローダー博士が言うように、「UFO現象全体を理解するためには、軍や政府、またその周辺の担当者がどう動いているのかを理解する必要がある」ということでしょう。

韮 澤 潤 一 郎
にらさわじゅんいちろう

韮澤潤一郎の監修本
1945年新潟県生まれ。
法政大学文学部を卒業。

科学哲学において、
量子力学と意識の問題を研究する。

たま出版社長 他各社役員・
UFO教育グループ主幹。
 小学生時代にUFOを目撃して以来、40年にわたる内外フィールドワークを伴った研究をもとに雑誌やTVで活躍中。1995年にはUFO党より参議院選挙に出馬。最近は、『たけしのTVタックル』などの番組に出演、超常現象肯定派の側に立って論陣を張る。UFO絶対肯定派。これまでに『ソ連東欧の超科学』『ノストラダムス大予言原典』『第三の選択』、「エドガー・ケイシー・シリーズ」「UFOシリーズ」などのベストセラーを手がけてきた。

 UFOと超常現象における研究の主要なテーマは、UFO目撃事件に始まり、宇宙開発や軍事上の情報操作の実態、宇宙考古学的な視点から見た人類の歴史、ミステリーサークル出現にいたる近代の文明に及ぼす宇宙人の動向、多様なコンタクト事件から判明する宇宙人の文明と、我々地球人の進化と能力の展望。